督促状と催告書との違いとは?届いた場合どうするの?放置リスクと対処法を詳しく解説

督促状と催告書との違いとは?届いた場合どうするの?放置リスクと対処法を詳しく解説
督促状と催告書との違いとは?届いた場合どうするの?放置リスクと対処法を詳しく解説
編集部/元・タジュウ

ある日突然届いた、金融機関からの封書。

同封されている「督促状」や「催告書」という文字を目にして、呆然とする方も多いのではないでしょうか。

この記事では、督促状と催告書との違いや届く意味、それらを放置した場合に起こるリスクや適切な対応方法について、詳しく解説していきたいと思います。

「督促状」と「催告書」について

借金返済が滞ると、金融機関などから返済を促す書類が届きます。これらの書類が、「督促状」と「催告書」になります。

督促状と催告書は、どちらも金融機関から送付されてくる書面になります。

「督促状」と「催告書」が送られてくる理由

督促状と催告書は、借金の返済や税金の支払いが遅れた場合などに自宅に届きます。

具体的には、以下のような状態になってしまった場合が考えられます。

  • カードローンの返済期日までに完済できなかった
  • クレジットカード支払い口座から引き落としができなかった
  • 支払うべき税金や年金を期日までに支払わなかった
  • 電気代や水道代などの支払いをしなかった

これらはあくまでも一例ですが、このような場合には、金融機関などから督促状が送られてくるのです。

「督促状」と「催告書」が送られてくる順番

基本的には、督促状の後に催告書が送られてきます。

督促状は、滞納が始まった初期の段階に送られてきます。返済期限や納付期限を過ぎてから、数日〜1週間後を目安に届くことが一般的になります。

一方、催告書は督促状によって催促されたにも関わらず、適切な対応をしていない場合に送られてきます。返済期限や納付期限を2ヶ月超えた時点から、催告書が届くことが多いようです。

しかし、これは一般的な例です。督促状が送られてくることがないまま、催告書が送られてくるケースもあります。

「督促状」と「催告書」の違いについて

督促状と催告書は、どちらも支払いや返済をしなかった場合に送られてくる書類なので、それぞれの違いが分かりにくいかもしれません。

しかし、督促状と催告書には大きな違いがあります。

「督促状」とは

「督促」とは、約束の実行を促すことを意味しています。そして、「督促状」は、支払いが遅れている債務者に対して、債権者が支払いを促す請求書になります。

金融機関ごとに様式は異なりますが、一般的な督促状には次のような内容が記載されています。

【督促状の記載内容】

  1. タイトル
    「督促状」「支払通知書」「お支払いのお願い」など
  2. 未入金に関して
    支払期日に入金確認ができていないこと
  3. 支払いの催促
    再設定された支払期日と請求金額の入金依頼
  4. 振込先
    振込先になる金融機関の口座番号等
  5. 連絡先
    問い合わせをする際の金融機関担当部署等の連絡先

一般的な「督促状」には強制力がなく、借金の返済などの債務履行を促すことを目的として送付されてきます。そのため、比較的やさしい言い回しで書かれていることが多くなります。

催告書とは

一方、「催告」とは、相手方に対して一定の行為をなすように請求することを意味しています。そして、「催告書」は、支払いが遅れている債務者に対して、債権者が支払いをするように請求する書類になり、法的措置を見据えた最終通告の意味合いを持ちます。

こちらも、金融機関ごとに様式は異なりますが、催告書には次のような内容が記載されている場合が多くなります。

【催告書の記載内容】

  1. タイトル
    「催告書」
  2. 未入金に関して
    再設定した支払期日に入金確認ができていないこと
  3. 支払いの催促
    再々設定した支払期日と請求金額の入金指示
  4. 振込先
    振込先になる金融機関の口座番号等
  5. 未払いの場合の処置
    法的手続きになる可能性の示唆
  6. 連絡先
    問い合わせをする際の金融機関担当部署等の連絡先

「催告書」は、督促状などによる返済依頼が無視された場合や、返済が滞っている場合に送付されてきます。債務履行を強く促すという目的があり、法的処置をとる可能性を示唆する必要があるため、督促状よりも厳しい言葉遣いで書かれています。

「督促状」と「催告書」が送られてくる方法

督促状と催告書の内容についてお分かりいただけたかと思いますが、それと同じくらい注意を払ってもらいたいことがあります。

それは、発送されてくる方法についてです。

督促状は、通常郵便で送られてくることが多くなります。しかし、催告書は、ほとんどの場合「内容証明郵便」で送られてきます。

郵便局が発送の事実を証明してくれる内容証明郵便には、高い信頼性が認められます。そのため、催告書が「内容証明郵便」で送られてきた場合には、「時効の完成猶予事由」が発生してしまいます。

「時効の完成猶予事由」という聞きなれない言葉に、困惑してしまう方も多いことでしょう。

これは、内容証明郵便を受け取った時点で「返済や支払いを逃れられなくなった」ということになります。返済や支払いを済ませるまでは、時効が完成することがなくなり、絶対に滞納を続けることや借入を踏み倒すことができなくなるということなのです。

「督促状」と「催告書」を放置するとどうなるのか!?

借金の返済などが遅れると、最初に督促状が届くことがほとんどになります。その際に、放置したままで何もしないと、どのようなことになるのでしょうか。

督促状が届いてからの一般的な流れ

督促状が届いてからの一般的な流れを、時系列で見ていきたいと思います。

届いた督促状を放置しておくと、相手の取る措置がだんだんと厳しくなっていきます。

催告書が届いたら危険

督促状が届いた時点でも、かなり危険な状態です。しかし、督促状を放置しておいて催告書が届いてしまう頃は、もっと危険な状態になっています。

連帯保証人や保証人にまで請求が行く

催告書が届いてしまう頃には、連帯保証人や保証人にまで請求が行ってしまう場合があります。

とくに、連帯保証人は主債務者と同等の返済義務を負っています。督促状を放置していて催告書が届いてしまうと、連帯保証人もトラブルに巻き込んでしまうことになります。

ブラックリストに載る

催告書が届いてしまう頃には、俗に「ブラックリスト」と言われる、信用情報機関が管理する「信用情報」に、返済をしていないという「事故情報」が登録されてしまいます。

ブラックリストは、金融機関で共有されています。最長でも5年程度で事故情報は消えますが、ブラックリストに情報が載っている期間中は、新たな借り入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

裁判所からの差し押さえ予告通知

それでも放置していると、金融機関が法的手段を取ることになり、裁判所から特別送達が届きます。

この際に特別送達で届くものは、「訴状」もしくは「支払督促」になります。

「訴状」と「支払督促」では、その後の流れは大きく変わってきます。しかし、どちらの場合も、結果としては強制執行になります。

強制執行を申し立てられると、預貯金や不動産などの財産が差し押さえられるので、家族にも知られることになります。さらに、給与の一部も差し押さえられるので、会社にも状況を知られることとなり、さらにダメージが大きくなります

「督促状」や「催告書」が届いてしまったら!?

根本的な問題として、返済や支払いが滞らないようにしておくことが重要になります。そうすることで、督促状や催告書が届くことはなくなります。

しかし、やむを得ない状況によって、督促状や催告書が届いてしまった場合は、次のような対策が必要になります。

詐欺ではないかを確かめる

最近では、裁判所や金融機関を騙った詐欺が増えています。身に覚えがないときはもちろんですが、身に覚えがあっても、催促状が届いた場合は自分の滞納や借金を確認する必要があります。

なお、借り入れをした金融機関などとは別の社名で、督促状が送られてくる場合があります。金融機関が依頼した債権回収業者の社名になっているので、放置せずに中身をしっかりと確認しましょう。

役所や借り入れをした金融機関に電話や問い合わせをして、直接確認してみると間違いがありません。

さらに、裁判所からの通知があった場合は、注意が必要です。支払督促の申立て段階では、裁判所は架空請求を見分けることができません。

思い当たることがないからと放置していると、「意義がない」と判決され、突然に強制執行を受けるようなことがあります。裁判所からの郵便物であっても信用せずに、内容をしっかりと確かめて裁判所に直接問い合わせをしましょう。

すぐに支払いをする

督促状や催告書が本物であると確認したら、速やかに支払いをしましょう。督促状や催告書に支払い方法についての記載はありますが、再度、金融機関に確認します。

また、支払期限までに支払える見込みがない場合でも、返済の意思を示すことで状況の悪化を防げる場合があります。

「支払期日を延長してもらえるか」「支払い方法を変更してもらえるか」などを、相談してみましょう。

債務整理はプロに任せることがベスト

督促状や催告書が届くことは滅多にない体験なので、実際に督促状や催告書を目の当たりにすると、対応に困ってしまう方がほとんどでしょう。

しかし、そんな緊急事態だからこそ、ベストな判断をしたいものです。

自分の置かれた状況を正しく判断して、最適な方法をとりたい場合には、専門知識や経験が必要となります。

督促状や催告書が届いた際に放置しておいたり、安易な判断による対応をしたりすることは、状況を悪化させる原因になります。

督促状や催告書が届いた場合には、弁護士など、債務整理の専門家に相談することをおすすめします。

この記事を書いたのは
編集部キャップ/元・タジュウ
編集部キャップ/元・タジュウ
日本国内某一流大学を卒業後、米国一流校でMBAをトップクラスの成績で取得。Chartered Financial Analyst, CFA/日本証券アナリスト協会認定アナリスト, CMA取得済み。金融に関しての知識は世界トップクラス。ネイティブ並みの英語とタイ語能力を有す。大手町大手監査法人でM&Aアドバイザー職を経て右往曲折(紆余だけでなく。詳細は記事をご覧あれ)。現在は債務整理中央事務局で編集キャップとして活動中。コップンカップ!
私が監修しました
宮地祐樹
ひかり総合法律事務所
宮地祐樹 弁護士
所属:日本弁護士連合会/第二東京弁護士会/日本スポーツ法学会会員。調査案件:ベルマーレコンプライアンス委員会委員。経歴:早稲田実業学校高等部/早稲田大学法学部/北海道大学法科大学院/あさひ法律事務所。元Jリーグ下部組織でのプレー経験がある法曹界では珍しい異色の経歴を持つ。好きな色は青。幼少期から体育会系の世界で揉まれ育ち、人情に厚いながらも冷静沈着な仕事のスタイルが好評を得ている。訴訟案件を多く抱えながらも交渉案件も得意とし、日々、金融機関との交渉に励んでいる。