過払い金請求とは?実際に何を過払いしてるの?どこよりも「ゆるく」わかりやすく解説

過払い金請求とは?実際に何を過払いしてるの?どこよりも「ゆるく」わかりやすく解説
過払い金請求とは?実際に何を過払いしてるの?どこよりも「ゆるく」わかりやすく解説
編集部/元・タジュウ

過払い金。実際、何を過払いしてんの?

皆さん、元多重債務者の元・タジュウです! 借金や法的債務整理の様々な側面について分かり易く & 面白くご解説し、読者の皆様が借金に手を染めないよう、もう染めちゃった方には少しでもご参考になるよう鋭意執筆活動に没頭しております。弁護士ではなく借金問題を研究しているだけの編集者なので、「実際の救世主」には成れませんが・・・。

さて、他の多くの記事でご説明しているように主な研究対象は法的債務整理の手続きで、私の意見では自己破産が「キング」です。多重債務を一発で吹き飛ばしてくれる魔法の杖のようなもの。

一方、いわゆる法的債務整理つまり自己破産・個人再生・任意整理とは違いますが、関連しているトピックに「過払い金問題」が存在します。借金界(そんな世界あるのか)ではよく取り沙汰される話題です。

が、ネットで解説を読んでもとにかく複雑で分かりにくい。テクニカルな内容がズラズラと並べられているだけだからです。

過払い金とは何かゆるくご解説致します

ここで、私が登場。過払い金とは何かゆるくご解説致します! 

なお、借金の種類や消費者金融の金利(複利・リボの恐ろしさ)についてご解説した記事も別途用意しており、特に後者をお読み頂いてから本稿に目を通すと理解が深まると思います。

私自身、個人再生(失敗)・自己破産(成功)をくぐり抜けており、実際的・体感的にもよく知っております。一方過払い金ゲット・バックには個人としてお世話になったことは御座いません。しかしながら、リサーチをした上で「概ねこういうもんだろう」とはご説明出来ます。

以下、私の解釈も交えまず「過払い金ってそもそも何よ」をご解説します。どうしてそういうややこしい問題が惹起したのか。

その上で、取り戻す際の大まかな手続きや注意点を述べ、ざっくり効果測定もしてみたいです。

最後、独特のシミュレーションとして法的債務整理(自己破産と任意整理)と絡む複合的な状況に遭遇したらどう考えアプローチしたらいいか? こんな見解もお示ししたく。

先に結論を言うと、言われてるほどの絶大な効果はナイ、気がします。が、場合によっては弁護士・司法書士事務所に頼むとある程度取り返せるかも。ぐらいですね。もし過払いしていたら調べてもらって、貰えるならもらっておく。こういった借金解決の専門家達もまずまず有望なビジネスとして着目・注力はしております。

では!

過払い金って?

過払いって、ソレではナイ(定義)

「過払い金」、借金界と縁の無い方にとっては聞きなれない言葉です。何だそりゃ? と思う方もいると思います。

借金を忘れて、「過払い金」とだけ聞いた時に思う私のイメージ。こんな感じです。

一度、コンビニで働いているスッゴイ清楚で礼儀正しい女性に恋愛感情を抱いたことがあります。少し酔っ払っていて、ビール & 乾きもの & おにぎり、つまりビーラーの三種の神器ですが、これを買ってその方がレジにたまたま居ました。お会計は1,535円なり。ここで、2,000円出して「お釣りは取っておいて下さい!」と頭を下げながら変なことを口走りました。すると、「困ります!」と言われて受け取ってくれません。日本のコンビニにチップ制度は無いので、受け取ると却って困る。そりゃそうだ。これが、いわゆる「過払い金」、そしてその難しさの正体か・・・と家で考え込みました。

違うって!

意味不明な中年男性の私。それ以上変なことをするとストーカーになり警察に通報されるので、軽いラブレターを一回書いて言付けてそこで止めました。もうバイトからは退職されているようで、お会いすることはありません。過払い(釣りでチップ)とラブレターの押し付け。軽犯罪寸前ですね。

過払い(釣りでチップ)とラブレターの押し付け。軽犯罪寸前

では借金界の「過払い」とは? 単純に言うと、支払わなくてもよかったはずの利息を多く払い過ぎた! ってことです。案外そのまま。実はもの凄いややこしいんですが・・・。定義はそれで。

では、何故過払い金問題が存在・横行するんだ?

ここがポイントの一つです。私独自の見解も御座います。

まず消費者金融の金利には政策的に定められた「上限」が存在します。それを超えて貰っちゃたから「言われたら、仕方ないんでその分は渋々返す」。こんな感じです。

ここで、そもそも暴利を前提としている違法な貸金業者は度外視します。単に明らかに法律違反の悪徳業者なんで。

さて消費者ローンを手掛ける大手の商業銀行やサラ金はしっかり登記もされており、あこぎな商売という面もありますが、基本「全体に合法」な事業運営をしています。か、長年してきました。

そういう一応・建前上合法な業者(最低国の定めたルールは守る)が何故取りすぎちゃったの? ここが経緯的に不明な点です。違法ではなく、大々的・全国的にビジネスをやるなら、違法行為をして国に咎められ営業停止になどなったら元も子もありません。

大手の銀行やサラ金(みずほやレイク・アコム等)でもこういった問題はかなりの件数発生しています。最近国がうるさいからそういうことはもうしねぇってことで下火になってきているようですが・・・。

元・タジュウの考えをここで。

元々、「契約」というものは当事者同士の自由なはずで、お互いに金利条件に合意したらそれでOKなはずです。年利65%でも何でも。双方それでいいって言ったんで。

ここで、まず何故政策的(人為的)に国が金利条件に上限を定めるか。資本主義の大原則として契約の自由ということがあるのは分かる。が、よく知らない「無垢」な庶民に対し金融機関の方が規模・知識的にはるかに勝っているので、あまりドイヒーなことにならないようある程度「恣意的」に金利の上限を国家として決めさせてもらった! こんな感じです。

大分経緯が分かってきました。

では、一応合法を旨とする大手金融機関らがどうしてその上限をオーバーしちゃったのか? そんなことしたら看板を国に取られるかもしれない、と分かっていて敢えてオーバーする大手金融機関の経営者はいません。損得勘定ではオーバーする方が明らかに損です。それより国のご機嫌を損なわない上限ギリぐらいの金利で商売を続けた方が賢い!

ここがまた不可解、というか奇妙な点です。

さて、この上限には大雑把に二つあります

  • 相手次第では契約自由の原則が強くなる最大上限: 30%弱とか。
  • なるべくこの範囲以下にして欲しい一段階下の上限: 20%弱とか。

数字の設定自体は多分「テキトー」です。大体こんな感じか? とどこかの偉いお役人さんが決めた。

消費者金融業も道楽では無いので、少し拡大解釈をして前者の金利を目安に貸し出し、大儲けしておりました。グレー金利、などとも呼ばれます。つまり申し込む消費者の方が合意したんで、それでいいんじゃないか、と。

ここで、国としてはこれはイカン、ちょっとやり過ぎかもしれん・・・ということで、先にしばらく黙認していたくせに「後付け」で後者の上限を強要するようになりました。基準・取締まりが厳しくなったというか。

それなら最初からそうしろよ・・・というのが経営者の不平かもしれません。これには一理ある。

官というのは有無を言わさず、後付けだろうと何だろうとそう決めたらそうさせるので・・・。後付けでもあまり違反するとそのうち営業免許取消しになるかもよ、とちらつかせて無理やり守らせる。何だかそれもどうかなって感じがします。

これが一般論で、経緯の全貌です。この程度の理解でよろしいかと私は思っています。

気持ち面で、

  • 貸し手側としては何だか納得がいかない。
  • 借り手側にはいずれにしても有難い。

こんな感じ。でも国がそういう強権を事後的に「消費者保護のため」という御旗の下振りかざすとどんな混乱が生じるのか?

じゃあ結局過払い金どうすんの?

ソキュウ(遡及)

ソキュウってカタカナにすると元・タジュウみたいで響きがステキです!

普通、ルールや法律ってものは「今後はこうする」と決めた時点以降に適用・執行されるべきものです。何を危険な薬物に指定するか、中絶は合法か、とか今米国で問題になっているトピックも基本そうなはずです。一つ端的な例を挙げます。

大福はカロリーが高すぎて(もちろん洋菓子などに比べれば低カロリーですが)健康を害するので販売も買い食いも厳禁とする。違反したら懲役2年以下か50万円以下(あるいはその両方)の罰を科す。女性はスカーフをかぶらないと外出出来なかったりスポーツ観戦を制限させる国とかもありますので、あながち可能性ゼロでもありません。支配者の理屈は何とでも! さて、理由はともかくそうなったら従うしかない。そうでないと捕まって牢屋に放り込まれる可能性すらある。ということで、大福屋は軒並み看板を下ろし、別の近い仕事(もう少し糖分が低い饅頭とか)を始めます。大福好きの消費者も多くはあきらめて饅頭で我慢します。禁酒法時代のように、大福は少しぐらいブラックマーケットで流通します。が、裏で売り買いしている人達は段々捕まってゆく・・・。

大福餅で逮捕

こういう状況を考えます。ここで、その法律の「施行前」に大福を売っていた、或いは大福を食べていた人達も罰する! となったらどうでしょうか? そりゃないんじゃないか? となります。これは変です。

この法律の後、「大福に近いが大福ではないと考えられる」あるお餅を売り続けたお店が沢山ありました。すぐに「それは事実上大福なんでダメ」と国が言ったらやめたのに、10年間ぐらいOKでした。それが後になってやっぱり大福だな! となる。ならその時点から止める・・・でOK? それもダメ。大福売っていたので。そのお餅を売っていた者も罰する!! 解釈を誤っていた人民の方が悪い。それならそれでいいから、先に言えよ・・・。

さてこの過払い金問題。20%を切るぐらいでないとNGなんで、って「はっきり」お触れを出した時点からそうするのが「フェア」です。国だろうと何だろうと。しかし国の理論では、お役人がはっきり解釈を打ち出していなかったのが一因なのにも関わらず、業者の方が拡大解釈して許される金利以上に暴利を貪っていた! という考えに。

だからその分は債務者・元債務者に言われたら返せ、というお役所流の解釈を押し付けています。返してもらえる消費者の方は嬉しいんですけど・・・。業者の方は「また国の有無を言わさぬ命令で話がややこしくなる」とホントに頭が痛いことでしょう。なら先に言えよ、と。

もう貰っちゃったものを改めて「遡及(遡って)」して計算し、返すっていう手続きがどれだけややこしいか。損もするし。

消費者金融 vs. 消費者の枠組みではどちらかというと後者に味方する私ですが、おかしいものはおかしいので今回は前者寄りです(客観的な解説を心掛けています)。

じゃあ返しますわ

ここで注意点をいくつか。

まず、大手でもこの後付け命令に違和感があり、返せと言っても「その時はOKだったし」という態度で中々応じない所もあります。

また、過払いだったから返せという場合、そう申し立てる方がキッチリ計算の上手続きを進める必要があります。行政命令的な面もありますので、必ずしも裁判の場に持っていく必要はナイようですが。データの取寄せ・計算による確認自体非常に複雑ですので、こちらも専門にしている司法書士・弁護士事務所にお願いするようにして下さい! 

あと、返ってくるのは「金利の差」(グレー金利とホワイト金利の差分)オンリーですので、借金の元本がどうなる話でもなく、よっぽど長期間この挟間で払い続けた人でないと手間を掛けて取り返してもそんな大した額にはならないだろう、という留意点もあります。専門家起用のフィーもある程度掛かることもあり・・・。

つまり、業者の方も納得がいかず悪いとは思っていないので、額の割に案外面倒、と言えそうです。ただ、データの取得・引き直し計算はほとんど無料か無料(成功報酬制)という事務所も案外ありますので、場合により相談して調べてみる価値はあるかもしれません。その上で、明らかにそうだったら返してもらえるもんは返してもらう、ぐらいで。なお時間についてはさほど長期化はしないと思います。

・・・と、思惑が色々あってかなりややこしいトピックです。

過払い金返還については基本返さない・返したくナイ、というポリシーの大手もあるようで、自分で渡り合おうとするとはねつけられるだけの可能性もある点、ご留意下さい。

過払い金が法的債務整理と交錯する場合

私の執筆する記事は全て「多重債務状態脱出」を主眼にしています。

なので、今借金を抱えていて元本を含め全部一気に消したいなら自己破産を! というのがぶれない論点です。

過払い金問題は借金に関係していますが、これは基本「独立した問題」と考えております。独立していて、それオンリーで効きそうならそれだけ粛々とやってもらう。これはこれで意味があるでしょう。

さてもっとややこしいケースを考えます。

独立、というのは借金の元本が返済終了で消えていて、仮に利子を払い過ぎた場合で出来る限り返してもらう、というシンプルなケースです。

が、過払いもしていたようで、まだ色々借金が残っている、こんな場合もかなりあるでしょう。これは本当にややこしい。

まず過払い金を出来る限り取り戻して、改めて必要なら自己破産等の手続きをする、これが理想・ベストです。が、相手も道楽ではないのでムキになってきて、債権者として対抗してくる可能性も否めません。

まず借金元本をある程度減らして・金利ゼロにしたい(それなら何とか返せる)、だから裁判の絡まないお手軽な任務整理を検討しているとします。ここに過払い金もあったと判明したら、「バーターの一材料(過払いの方は何も言わんから、減免に応じてくれ)」に出来る可能性はありますね。これも交渉に慣れた弁護士殿と必ず相談の上!

では自己破産や個人再生に絡んでいる場合。ケース・バイ・ケースかと思いますが、過払い分は相対的に大した額ではないはずなので話をさらにややこしくしないよう借金帳消しの裁判に集中して過払い金は度外視する、というのもスマートです。債権者に裁判に顔を出されるとそれはそれで厄介なため、問題をシンプルにする。向こうに色々いちゃもんを付けて下手に刺激しない。こちらの作戦も専門家とよく相談の上。

過払い金についてのまとめ

過払い金問題はややこしい。政府の恣意的な判断でNGと事後的に決まったのでこういう変な問題になり、業者の方も何だか納得が行かず応じないとこもありそう。

仮に面倒な手続きを経て取り返せそうでも、大した額にはならないケースも多そう。何年も金利を払ってきた人は、専門家にお願いして調べてみる価値はアリ! 出来るなら調べるだけはタダで、と。その上であると判明したら貰えるものは貰っておく。

まだ借金自体もあり返済を続けており、いわゆる法的債務整理を検討されている方は、過払い金問題も絡めると話がややこしくなる可能性がある点、ご注意下さい。過払い金も取り戻してその上自己破産等で現在の借金も取り返す、となると債権者の方もいきり立ちます。ばれないのではないか? と思うかもしれませんが、向こうもプロですのでこちらが弁護士を立てるとそういう意図もあるのでは? と感づく可能性があります。

過払い金だけでもう借金はナイなら、出来る限り調べて取り返せるなら取り返す。

過払い金もありそうで、借金もあるなら、「全勝」を目指すと相手をカチンとさせる可能性アリ。アプローチについては弁護士先生と相談ですが、私の見解では「優先順位」をしっかり考えることがまず肝要かと。自己破産が一番の本丸で、過払い金にあまりこだわって本当の正念場で相手とガチンコでいがみ合うことになり、挙句失敗したら元も子も御座いません。

ということで、今回は過払い金って何? 法的債務整理の方が重要なら捨象した方が良い? とかの問題を私の見解も含めご解説致しました!

この記事を書いたのは
編集部キャップ/元・タジュウ
編集部キャップ/元・タジュウ
日本国内某一流大学を卒業後、米国一流校でMBAをトップクラスの成績で取得。Chartered Financial Analyst, CFA/日本証券アナリスト協会認定アナリスト, CMA取得済み。金融に関しての知識は世界トップクラス。ネイティブ並みの英語とタイ語能力を有す。大手町大手監査法人でM&Aアドバイザー職を経て右往曲折(紆余だけでなく。詳細は記事をご覧あれ)。現在は債務整理中央事務局で編集キャップとして活動中。コップンカップ!
私が監修しました
宮地祐樹
ひかり総合法律事務所
宮地祐樹 弁護士
所属:日本弁護士連合会/第二東京弁護士会/日本スポーツ法学会会員。調査案件:ベルマーレコンプライアンス委員会委員。経歴:早稲田実業学校高等部/早稲田大学法学部/北海道大学法科大学院/あさひ法律事務所。元Jリーグ下部組織でのプレー経験がある法曹界では珍しい異色の経歴を持つ。好きな色は青。幼少期から体育会系の世界で揉まれ育ち、人情に厚いながらも冷静沈着な仕事のスタイルが好評を得ている。訴訟案件を多く抱えながらも交渉案件も得意とし、日々、金融機関との交渉に励んでいる。